はじめに|ローカルじゃない?クラウド構築という選択肢
Stable Diffusionを使ってAIイラストを生成したい…でも、ローカルPCのスペックが足りない!という悩み、ありませんか?
他にもクラウドサービスのStableDiffusionの契約をしてみたけど、ネットワーク速度が足りなくてModelsのアップロードができない!という悩み
そんなときに便利なのが「クラウド構築」です。
クラウド環境で構築してしまえば、月額3000円(1日1〜2時間換算)程度でStableDiffusionを構築する事ができます。
今回は、Google Cloud Platform(GCP)を使って、
- T4 GPU
- n1-standard-4(4vCPU・15GBメモリ)
- Ubuntu 20.04 LTS
という構成でStable Diffusionを構築してみた体験をまとめます。
なぜこの構成にしたのか?
GPU:T4を選んだ理由
- 安価で利用でき、Stable Diffusion 1.5〜2.xの世代では十分な性能
- Google Cloudでもサポートされている
CPU&メモリ:n1-standard-4にした理由
- 軽量モデルでコストを抑えつつ、インストールや実行が快適
- RAM15GBは、Web UIの起動やモデル読込にちょうどいいバランス
OS:Ubuntu 24.04 LTS
- 安定性と対応ライブラリが豊富
- 多くの導入ガイドやGitHubプロジェクトがこのバージョンを想定している
Stabledeffusion構築手順
構築の流れ
- GCPでインスタンス作成(GPU付きVMを選択)※ディスク容量は40GBくらいは最低でも必要そう。
- Ubuntu 24.04 LTSを選び、SSHで接続
- Python、Git、CUDAなどの環境を整える
- AUTOMATIC1111のWeb UI クローン & モデル準備
- Web UIを起動し、ブラウザからアクセスして使うだけ!
※T4を使う場合はCUDA11.x+PyTorchのバージョンにも注意!
この時点で頭痛くなってきた方はこちらに他のStablediffusionを利用する方法をまとめてますのでご参考ください。
手順1.GCPでインスタンス作成
Google cloud platformにアクセスします。

右上の利用登録をクリックしたのちに画面に従って登録を済ませたら左上の三本線のところをクリックし「VMインスタンス」作成画面に進みます。


VMインスタンス作成画面に移動したら、「インスタンスを作成」のボタンをクリックし作成画面で今回作成する構成を入力します。
今回の構成
- T4 GPU
- n1-standard-4(4vCPU・15GBメモリ)
- Ubuntu 24.04 LTS

StableDiffusionを構築するのにはGPUとメモリが肝心なので今回は他の選択肢は触らないでデフォルトのままで大丈夫です。ただリージョンだけデフォルトだとエラーが出る可能性があるので、台湾選べばおそらく大丈夫だと思います。今回の構築でどこも触らないでエラーが出たら、おそらくリージョンだと思うので、色んな国に変えてみてください。
ちなみにリージョンは今から作るコンピュータをどこの国に置くかを決めるだけですので、大災害でも起こらない限り基本的には影響ありません。名前は変えていますが、基本的に名前はルールが細かく決まっていますので、触らない事を推奨します。
リージョンだけ変更したら「GPU」をクリックします。

GPUの選択画面に移動したら、GPUのタイプを「NVIDIA T4」にしてくださいこれが何より大事です。NVIDIA製でないとそもそもStableDiffusionは起動しないようになっています。GPUの数はお得じゃんって増やすとエラーが発生する原因になるので、そのままにしましょう。
最後にマシンタイプを「n1-standard-4」にしてマシンの構築は完了です。だけど、まだOSの選択があるので作成ボタンは押さないでください。

手順2.Ubuntu 24.04 LTSを選び、SSHで接続
OSとストレージの容量の設定に移行します。まず、今回「Ubuntu 24.04 LTS」をつかう理由としてはよく使われるOSであり、トラブル発生時にChatGTPなどで聞いたときに答えがでやすいからです。そうChatGTPが言ってました。個人的にはCentOS stream9 が好きです。
まず、左端のバー「OSとストレージ」をクリックして「オペレーションシステムとストレージ」の画面に移動し「変更」ボタンを押します。

「変更」ボタンを押した後出てくる画面で「オペレーティングシステム」で「Ubuntu」バージョンで「Ubuntu 24.04 LTS」を選択。ブートディスクの種類は「バランス永続ディスク」で今回は「100GB」で作成します。
ブートディスクだけコンピュータを停止させていても料金が発生するので、ほとんど使わない人は「40GB」くらいで抑えるのがおすすめです。「20GB」とかだとあらゆるソフトをダウンロードすると容量が足りなくなり、また一から作り直さないといけなくなるので、最低でも「40GB」は設定しておきましょう。
最後に「選択」ボタンを押します。

設定が完了したら、画面最下部にある「作成」ボタンを押して作成します。

作成手順が完了したら、インスタンス(上記手順で作った仮想のコンピュータの事)が作成されるまで待ちます。緑色のチェックマークがついたら作成完了です。

※構築が完了したらSSH接続(インターネット越しでの遠隔操作のための接続)を行っていくわけなのですが、その前に料金はこの時点から発生します。ですので操作完了後や時間を空ける場合はシャットダウンをしてください。基本的にはSSH接続をしてシャットダウンをするのを推奨しますが、どうしても難しい場合は三つの点をクリックした後に出てくる、「停止」ボタンで止めることが出来ます。

構築が完了したらステータスの欄にチェックマークが表示されていることを確認してSSH接続します。ちなみにチェックマーク表示はコンピュータが起動していることを表す表示となっており、ビデオの停止ボタンのようなマークが出たらコンピュータが停止していることを表す表示となります。
SSH接続は「SSH」ボタンを押すことで接続することが出来ます。

手順3.Python、Git、CUDAなどの環境を整える
コンピュータの構築ができ接続することが出来たらコンピュータの画面に移動すると思います。真っ黒でカーソルとかも特にでなくて、どうやって操作するの?となるかも知れませんが今回作成したコンピュータはコマンド操作、つまり文字でコンピュータに指示を出して操作する方法になります。
ログインしたら下記画面が移ると思いますが、特にコンピュータ自身に設定することはございませんので、下記コマンドを打っていきます。

ちなみに一度パソコンをシャットダウンするときは下記コマンドを打ちます。
sudo shutdown -h now
1. NVIDIA ドライバとCUDAインストール
GCPのT4 GPUインスタンスに NVIDIA Driver + CUDA というソフトをインストールします。
どちらもNVIDIAを使うための道具と考えてください。
1-1. パッケージ更新とツールのインストール
sudo apt update sudo apt install -y build-essential dkms linux-headers-$(uname -r) wget
1-2. NVIDIAドライバ & CUDAのデータをダウンロード
curl -O <https://developer.download.nvidia.com/compute/cuda/repos/ubuntu2404/x86_64/cuda-ubuntu2404.pin>sudo mv cuda-ubuntu2404.pin /etc/apt/preferences.d/cuda-repository-pin-600
1-3.CUDAとAPT(無償のソフトウェアのマーケットみたいなもの)の変数(設定)指定
KEYRING_PATH="/usr/share/keyrings/nvidia-keyring.gpg"CUDA_REPO_URL="<https://developer.download.nvidia.com/compute/cuda/repos/ubuntu2404/x86_64>"
APT_SOURCE_FILE="/etc/apt/sources.list.d/cuda.list"
1-4.APT のサイトへの通行証のようなものを取得し登録
curl -fsSL ${CUDA_REPO_URL}/3bf863cc.pub | sudo gpg --dearmor -o ${KEYRING_PATH}
1-5.さっきの通行証使ってねとコンピュータに登録
echo "deb [signed-by=${KEYRING_PATH}] ${CUDA_REPO_URL}/ /" | sudo tee ${APT_SOURCE_FILE} sudo apt update
1-6.設定した情報を元にインストールを開始します
sudo apt install -y cuda
1-7.インストール後、コンピュータの再起動します。
sudo reboot
1-8.再起動後、以下で動作確認
nvidia-smi
上記コマンド打って以下のようなものが出てきたらOKです。それ以外はよろしくないです。念のためコピペして検索して意味を調べましょう。
エラー出てたら、対策を検索するしかないのですが最悪全部壊して一から作り直しましょう。
Tue Jul 1 21:49:39 2025
+-----------------------------------------------------------------------------------------+
| NVIDIA-SMI 575.57.08 Driver Version: 575.57.08 CUDA Version: 12.9 |
|-----------------------------------------+------------------------+----------------------+
| GPU Name Persistence-M | Bus-Id Disp.A | Volatile Uncorr. ECC |
| Fan Temp Perf Pwr:Usage/Cap | Memory-Usage | GPU-Util Compute M. |
| | | MIG M. |
|=========================================+========================+======================|
| 0 Tesla T4 On | 00000000:00:04.0 Off | 0 |
| N/A 60C P8 11W / 70W | 0MiB / 15360MiB | 0% Default |
| | | N/A |
+-----------------------------------------+------------------------+----------------------+
+-----------------------------------------------------------------------------------------+
| Processes: |
| GPU GI CI PID Type Process name GPU Memory |
| ID ID Usage |
|=========================================================================================|
| No running processes found |
+-----------------------------------------------------------------------------------------+
2. Python 3.10 のインストール
Pythonは初心者でも読みやすいプログラミング言語です。StableDiffusionのプログラムをコンピュータに読んでもらえるようにコンピュータに言語を覚えさせる作業になります。
2-1.必要パッケージのアップデート
sudo apt update
2-3.Python 3.10.13 のビルド
sudo apt install -y software-properties-common build-essential \\libssl-dev zlib1g-dev libbz2-dev libreadline-dev libsqlite3-dev \\wget git
2-4.Python-3.10.13.tgsファイル(圧縮された言語情報)をダウンロードする
cd ~
wget <https://www.python.org/ftp/python/3.10.13/Python-3.10.13.tgz>
2-4.Python-3.10.13.tgswo展開する
tar -xvf Python-3.10.13.tgz
2-5.展開した言語情報をビルド(構築)するために最適化して準備する
cd Python-3.10.13./configure --enable-optimizations
2-6.実際に組み立てる
make -j$(nproc)
2-7.インストールしている
sudo make altinstall
2-8.仮想環境を作成
python3.10 -m venv ~/sdwebui source ~/sdwebui/bin/activate
2-9.仮想環境内にPython 3.10 用 pip のインストール(初回のみ)
curl -sS <https://bootstrap.pypa.io/get-pip.py> | python3.10
2-10.確認(動作チェック)
which python
上記コマンドを打って /home/ユーザー名/sdwebui/bin/python と文字が出てきたらOK
python --version
上記コマンドを打って Python 3.10.13 と文字が出てきたらOK
以上の操作でコンピュータの準備ができたのでStableDiffusionのWebUIのクローンをインストールしていきます。
手順4.AUTOMATIC1111のWeb UI クローン & Models準備
下準備が完了したらStableDiffusionのブラウザ越しで操作するためのソフトをインストールしていきます。PythonやCUDAなどと同じでコマンドを入力していきます。
今回のModelsは“Realistic_Vision_V6”を利用していきます。
1. AUTOMATIC1111のクローン
クローンはインストールの別の手段になります。苗を植えて育てるのが、インストールならクローンは木をそのまま移植するイメージです。
git clone <https://github.com/AUTOMATIC1111/stable-diffusion-webui.git> cd stable-diffusion-webui
2.Modelsを配置するフォルダを作成する
mkdir -p models/Stable-diffusion
3. Modelsの配置
今回配置models:Realistic_Vision_V6
wget "<https://huggingface.co/SG161222/Realistic_Vision_V6.0_B1_noVAE/resolve/main/Realistic_Vision_V6.0_NV_B1.safetensors?download=true>" \\-O Realistic_Vision_V6.0_NV_B1.safetensors
別のmodelsを使いたい方はちょっと待ってください。別のModelsを配置するための手順の記事はまた作成しますので。簡単に言うと上記<>をダウンロードURLにすればいいだけなのですが、ダウンロードURLってどれ?となると思いますのでまた記事作ります。
Web UIを起動し、ブラウザからアクセスして使うだけ!
1.StableDiffusionの起動
StableDiffusionを起動して手元のPCのブラウザから操作できるようにします。
(sdwebui) user@stablediffsion:~/stable-diffusion-webui$python3.10 launch.py --xformers --listen --enable-insecure-extension-access
注意点として基本的にコマンドは青字のところを入力するとStableDiffusionは起動します。ただ、どこのファイルの中で操作をするのかが、大事になってくるので、今回紹介したコマンドを使った場合赤字のような表記が出ていると思うので、その表記が出ている事を確認して入力してください。赤字がなんか違う表記になっていたら。下記コマンドを入力しましょう。
(sdwebui)が無い場合
仮想環境に入れていないことになりますので下記コマンドで仮想環境に入れます。下記コマンドでだめだったら、”2-8仮想環境を作成する”だけもう一度やりましょう。
source ~/sdwebui/bin/activate
~/stable-diffusion-webui$が違う場合
操作する場所が違うので、上記コマンドを打ってもおそらく起動できませんとエラーがでます。なので下記コマンドで移動します。
cd ~/stable-diffusion-webui
無事起動することができたら、次は手元のパソコンのブラウザから接続します。
2.WebUIへの接続
WebUIへの接続はURLに作成したStableDiffusionのIPアドレスをいれて普段Google検索などで利用している、EdgeやChroomといったブラウザのURLバーに入力することで接続し利用することが出来ます。
まず、IPアドレスの確認方法について紹介していきます。
IPアドレスはGCP(Goggle Cloud Plattoform)から確認する事が出来ます。

↑画面の「外部IP」というところに書いてある「.」で区切った4つの数字です。※(最後のnic0はいらないです。)この数字をコピーして下記URLのIPアドレスのところに貼り付けて、そのURLをさらにブラウザのURLバーに貼ります。
http://IPアドレス:7860

ちなみにURLバーは上記画像の赤線のところです。
URLを入力してENTERを押すことで少し待てば、下記の画面に移動できると思います。

以上で完了です。
お疲れさまでした。ちなみに注意点としてGCPの外部IPはコンピュータを起動するたびに別のIPアドレスに変わりますので、毎回コピーするかIPアドレスを固定するかのどちらかをするしかないです。
IPアドレス固定は別途料金がかかりますので、今回は毎回コピーする方式を採用しました。
実際に使ってみてどうだった?

✅ よかった点
- 手元のPCのブラウザ(edge,GoogleChroom)から直接WebUIにアクセスできるので、操作性はローカルと変わらない
- クラウドなのでローカルPCのスペックや容量を気にせず作業できる
- 複数のLoRAやモデルを切り替えながらの検証も快適。
❌ 気をつけるべき点
- GCPのインスタンスは起動している時間に応じて課金される
→ 使わないときは必ずインスタンスを停止するのが節約のコツ - GCPでのコンピューターの構築にちょっと知識が必要。何も知識がない人はリージョンやトラフィック、外部IPアドレスなどの言葉を調べながらやる必要があるので大変。
- ブックマークとかでアドレスを保存することが出来ないので起動時少し手間かなと思います。
使用料金の目安
実際の使用時間は1日2〜3時間ほどで試しましたが…
- GPU(T4):約0.35ドル/時間
- インスタンス合計:約0.60ドル/時間
→ 1時間あたりおよそ100円~200円前後
ローカルに高スペックPCがない人にとっては、必要なときだけ使えるクラウドはコスパ良好だと感じました!
まとめ|クラウド構築はこんな人におすすめ
- 高性能GPU(NVIDIA製)を持っていない
- たまにしか使わないので、ローカル環境構築まではしたくない
- モデル検証やLoRAの切り替えを快適に行いたい
クラウド構築に不安がある人も、一度作ってみれば意外とできる!
必要なときだけ使える「大人のStable Diffusion環境」、おすすめです!
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